「10年固定がもうすぐ終わると案内が届きました。このまま変動になって大丈夫?固定にし直したほうがいいですか?」
固定期間が終わる時期には、こうした相談をよく受けます(よくある相談をもとにした例です)。住宅金融支援機構の調査(2026年1月調査。2025年4〜9月に住宅ローンを借りた1,237人が回答)でも、金利が上がったときに返済額がどれくらい増えるかについて「理解しているか少し不安・よく理解していない・全く理解していない」と答えた人が、合わせて52.0%いました。
この記事では、固定期間が終わると何が起きるのか、案内が届いたら確かめたいこと、次の選び方を、金融機関で働く3児パパの窓口目線でまとめます。

この記事の結論
① 手続きをしなければ変動金利に切り替わる金融機関が多く、固定を選び直すには受付期限があります
② 案内が届いたら、終了後の金利(引き下げ幅)・新しい返済額・借り換えた場合の総額の3つを確かめます
③ 変動・固定・借り換えは、返済額が上がっても家計が回るかどうかで選びます
固定期間が終わると、何が起きる?
固定期間が終わると、手続きをしなければ変動金利に切り替わる取り扱いが多く見られます。取り扱いは金融機関ごとに違うため、ここでは大手の公表例で説明します。10年固定のような「固定期間選択型」は、決めた期間だけ金利を固定し、終わったときにその時点の金利で次の金利タイプを選び直す仕組みです。たとえば三菱UFJ信託銀行は、終了の1か月前に案内を送り、申し出がなければ変動金利に切り替えると説明しています(2026年10月22日確認)。
もう一つ知っておきたいのが、返済額の決まり方です。変動金利には、返済額を5年間変えず、上げるときも前の1.25倍までにする「5年ルール・125%ルール」を設けた商品があります。ただし固定期間が終わるときの見直しは別の扱いで、三井住友銀行は、固定金利選択型の期間終了時の見直しでは返済額の増減に限度がなく、125%ルールも適用されないと説明しています(2026年10月22日確認)。金利の水準によっては、終了した月から返済額が大きく変わることがあります。
固定期間終了後に小さくなることがある「引き下げ幅」
住宅ローンの金利は、店頭表示金利(金融機関が示す基準の金利)から一定の幅を引き下げて決まるのが一般的です。この引き下げ幅には、完済まで同じ幅が続くタイプと、最初の固定期間だけ大きく引き下げるタイプがあります。後者は、固定期間が終わると引き下げ幅が小さくなります。三菱UFJ銀行の公表例(2026年10月1日現在、新規借入の条件)で比べると、次のとおりです。
| 引き下げのしかた | 公表例(三菱UFJ銀行) | 固定期間が終わったあと |
|---|---|---|
| 完済まで同じ幅 | 変動金利:店頭表示金利から年2.18%引き下げ | 固定金利に変えても、引き下げ幅は変わらない |
| 最初の固定期間だけ大きく | 当初の固定期間(3年・10年・20年)は大きく引き下げ | 固定10年・20年の終了後は、その時点の店頭表示金利から年1.55%の引き下げ |
表は新規借入の条件です。すでに借りている方の終了後の引き下げ幅は、契約したときの書類で確かめてください。この例では、引き下げ幅の差は年0.63%(2.18%−1.55%)です。同じ店頭表示金利なら、引き下げ幅が小さい分だけ使う金利が高くなります。仮に、完済まで同じ幅の人の金利が年1.00%のとき、最初だけ大きく引き下げるタイプで固定期間が終わった人が変動金利を選ぶと、年1.63%になる計算です。残りの借入2,000万円・残り25年(元利均等返済・ボーナス返済なし)で比べると、毎月の返済は約75,400円と約81,200円で、月に約5,800円、年に約7万円の違いです。金利1.00%は説明のための仮の数字で、特定の金融機関の適用金利ではありません。ご自身の場合は、案内にある新しい金利と、残りの借入額・期間で、今の返済額との差を出してみてください。
窓口でよく受ける相談
多いのは、案内が届いてから慌てて相談に来られるケースです。受付期限が近いと、ほかの金融機関への借り換えと比べる時間が足りなくなります。もう一つは、最初の引き下げ幅が大きかった分、終了後の金利が思ったより高くて驚くケースです。案内が届いたら、まず契約したときの書類で、終了後の引き下げ幅を確かめてみてください。そこが分かるだけで、落ち着いて選べます。
案内が届いたら確かめたい3つ
- 終了後の金利と引き下げ幅:変動金利と、選べる固定期間ごとに、何%になるかを確かめます。契約書や商品概要説明書、案内の書類に書かれています
- 新しい毎月の返済額と家計:返済額がいくらになり、教育費が重なる時期も払い続けられるかを確かめます。変動金利を選ぶなら、返済額の見直しのルール(5年ルール・125%ルールがあるか。くわしくは変動金利が上がったらどうする?)も確かめます
- 借り換えた場合の総額:金利の差だけでなく、事務手数料や保証料などの諸費用を含めて比べます。借り換えにも審査があります(住宅ローンの審査に落ちる理由は?)
3つめは、残りの借入額と残りの期間によって答えが変わり、金利の差が小さいと諸費用のほうが大きくなることもあります。目安として、案内が届いた日に期限と新しい金利を確かめ、1週間ほどで返済額を試算し、期限の前に借り換えの比較か手続きを終える段取りにすると、慌てずに済みます。
終了後は変動・再固定・借り換えのどれ?条件別の考え方
賛否ありますが、私は「どれが得か」より「返済額が上がっても家計が回るか」で選ぶ派です。先の金利は誰にも当てられません。日本銀行は2026年9月18日、政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)を1.25%程度に引き上げることを決めており、変動金利の基準となる金利が見直されることもあります。そのうえで、条件ごとに整理すると次のとおりです。
| 選び方 | 向いている人 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 変動金利に移る | 家計に余裕があり、金利が上がっても返済を続けられる人。手元の資金で繰上返済もできる人 | 返済額の見直しのルールは商品によって違う。金利が上がれば返済額も増える |
| もう一度固定にする | 教育費が重なる時期など、返済額を一定にして家計を読みやすくしたい人 | 選ぶ時点の固定金利は、変動金利より高いことが多い |
| ほかの金融機関に借り換える | 残りの借入額と期間が十分にあり、諸費用を含めても総額が下がる人 | 諸費用と審査がある。手続きに時間がかかるので、早めに比べ始める |
金利タイプそのものの違いは「住宅ローンの固定金利と変動金利の違いと、選び方の考え方」にまとめています。返済が厳しくなりそうなときは、早めに借入先の金融機関へ相談してください。住宅金融支援機構は、機構の融資を返済中の人向けに、一定期間の返済額を減らすなどの返済方法の変更を案内しており、手続きは返済中の金融機関に相談するよう示しています。変更の内容によっては、総返済額が増えることもあります。
わが家の場合
わが家は賃貸なので、固定期間が終わる立場ではありません。住まいの費用が上がったときに慌てないように、家計簿アプリで固定費を夫婦で毎日見ています。返済額が上がるかもしれない時期は、毎月の支出の中身を把握しておくと、どこで調整できるかを考えやすくなります。
受付期限と手数料に注意
固定を選び直す手続きの期限は、金融機関や申し込み方法(インターネット・郵送・窓口)によって違い、方法によっては手数料がかかることもあります。期限を過ぎると、そのときの選び直しはできません。あとから金利タイプを変えられるか、手数料がかかるかも金融機関によって違います。案内が届いたら、期限の日付から確かめてください。



まとめ
10年固定などの固定期間が終わると、手続きをしなければ変動金利に切り替わることが多く、引き下げ幅が小さくなることもあります。案内が届いたら、終了後の金利・新しい返済額・借り換えた場合の総額の3つを確かめ、返済額が上がっても家計が回る選び方をしてください。借り換えと比べるなら、早めに試算を始めるのが近道です。比べ方は「住宅ローンの借り換えで月々いくら減る?」にまとめています。


出典(確認日:2026-10-22)
※この記事は筆者個人の見解で、勤務先の見解や取り扱いではありません。相談の例は、よくある相談をもとに再構成したもので、特定の方の事例ではありません。固定期間終了後の取り扱い(切り替えの方法、受付期限、引き下げ幅、返済額の見直しのルール)は、金融機関や商品、契約の時期によって異なります。ご自身の契約書・商品概要説明書を確かめ、借入先の金融機関に確認してください。金融機関名は公表例として挙げたもので、特定の商品をすすめるものではありません。


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