「確定申告は自営業の人がするもの」と思っている会社員は少なくありません。私も金融機関で働くまではそう思っていました。しかし、会社員でも確定申告をすることで、年末調整では反映されない控除を受けられ、払いすぎた税金が戻ってくるケースがあります。窓口で住宅ローンや資産運用の相談を受ける中でも、「申告していれば戻ってきたのに」という見落としは驚くほど多くありました。代表的なのが医療費控除・住宅ローン控除(初年度)・寄附金控除です。この記事では、会社員が使える控除の全体像と、見落としやすいポイントを整理します。
この記事は「会社員が使える控除の入口」として全体像をまとめたものです。住宅ローン控除やふるさと納税の具体的な手続きは、それぞれ専用記事で詳しく解説しています(記事末尾にリンクがあります)。

※本記事の税制・控除の内容は2026年7月時点の情報にもとづいています。制度は改正される場合がありますので、最新の内容は各公式サイトをご確認ください。
なぜ会社員でも確定申告で得をするのか
会社員は毎年の年末調整で、所得税の精算の多くが自動的に済みます。ただし、年末調整では扱えない控除がいくつか存在し、それらは自分で確定申告をしないと適用されません。該当するのに申告していないと、本来戻ってくるはずの税金を受け取れないまま終わってしまいます。特に住宅を買った年や、家族の医療費がかさんだ年は、確定申告で取り戻せる金額が大きくなりやすいので、自分が対象になる控除がないか一度確認してみる価値があります。
会社員が使いやすい主な控除
| 控除 | 対象になる人 | 申告方法 |
|---|---|---|
| 医療費控除 | 年間の医療費が一定額を超えた人(家族分も合算可) | 確定申告が必要 |
| 住宅ローン控除(初年度) | マイホームをローンで取得した人 | 初年度のみ確定申告(2年目以降は年末調整) |
| 寄附金控除 | ふるさと納税を6自治体以上に行った人など | 確定申告(5自治体以内ならワンストップ特例も可) |
医療費控除:見落としやすい3つのポイント
医療費控除は「年間10万円を超えないと使えない」と思われがちですが、実際にはもっと幅広く対象になります。次の3点は特に見落とされやすいので確認しておきましょう。
- 通院の交通費も対象:電車やバスでの通院費用も医療費に含められる場合があります。
- 家族分を合算できる:生計を同じくする家族の医療費は、まとめて1人が申告できます。
- セルフメディケーション税制:対象の市販薬の購入額が年1万2,000円を超えた場合に使える別枠の制度もあります(医療費控除との併用は不可)。
「うちは医療費がそんなにかかっていない」と思っていても、共働き家庭で家族分を合算し、通院の交通費を加えると、意外と基準に届くことがあります。出産や入院があった年は特に対象になりやすいので、領収書を捨てずにとっておくことをおすすめします。
住宅ローン控除:初年度だけは確定申告が必須
マイホームをローンで購入した場合、住宅ローン控除を受けるには初年度に確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で手続きできるため、最初の1回さえ忘れなければ、その後は自動的に控除が適用されます。控除額が大きい制度なので、購入した年は必ず申告しましょう。融資の現場でも、初年度の申告を忘れて慌てて相談に来られる方が時々いました。
寄附金控除(ふるさと納税)
ふるさと納税は、寄附先が1年間で5自治体以内なら「ワンストップ特例」を使い確定申告不要にできます。6自治体以上に寄附した場合や、医療費控除など他の理由で確定申告をする場合は、ふるさと納税分も確定申告にまとめて記載する必要があります。ワンストップ特例を申請していても、確定申告をする年は改めて申告に含める必要がある点は、見落としが多いので注意してください。
確定申告の進め方
会社員の確定申告は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、画面の案内に沿って入力するだけで作成できます。源泉徴収票・医療費の領収書(または明細)・寄附の証明書などを手元に用意しておくとスムーズです。e-Taxを使えば、税務署に行かずオンラインで提出も完了します。初めてでも、案内に従えば1〜2時間ほどで終えられることが多いです。
会社員は年末調整があるぶん、「確定申告は自分には関係ない」と思いがちです。でも相談を受けてきて、「知っていれば数万円戻ったのに…」というもったいない見落としが本当に多かった。とくに多いのが医療費控除です。
確定申告は面倒に感じますが、いまはスマホでもでき、戻ってくるお金は“確実な利回り”のようなもの。1年に一度、見直す価値は十分あります。(税制は複雑で、条件により扱いが変わります。詳細は国税庁の情報をご確認ください。)
【相談現場から】会社員が“知らずに損している”控除5つ
- 医療費控除を“あきらめている”(いちばん多い)
・家族全員分を合算できる(生計を同じくする家族の医療費をまとめられる)/・通院の交通費も、条件を満たす公共交通機関なら対象になる場合がある/・治療目的の医療費は幅広く対象(美容目的などは対象外)/・所得200万円未満の人は、足切りが「10万円」ではなく“総所得の5%”になり、少ない医療費でも使えることがある。 - セルフメディケーション税制を知らない…ドラッグストアで対象医薬品を一定額購入していれば使える場合がある(医療費控除とはどちらか選択)。
- 住宅ローン控除の初年度…初年度だけは自分で確定申告が必要。会社の年末調整ではやってくれない(2年目以降は年末調整でOK)。
- ふるさと納税+確定申告…医療費控除・副業・住宅ローン控除の初年度などで確定申告をする年は、ワンストップ特例が使えません。ふるさと納税分も申告に含めるのを忘れずに。
- 「保険金が出たから医療費控除できない」と思っている…受け取った給付金は、その治療の医療費から差し引くだけ。たとえば医療費30万円・入院給付金15万円なら、差額が控除の対象になり得ます。



まとめ
確定申告は、会社員にとっても「払いすぎた税金を取り戻す」有効な手段です。医療費・住宅・寄附の3つの控除は特に該当者が多いので、自分や家族が対象にならないか一度確認してみてください。金融機関で多くの家計を見てきた経験からも、初年度の住宅ローン控除など「申告しないと受けられない控除」を見逃さないことが、家計の手取りを増やす一番の近道です。
※本記事は一般的な制度概要をもとにした情報提供です。控除の要件は改正される場合があるため、最新情報は国税庁の公式サイト等でご確認ください。
参考にした公的機関などの情報
※本記事は2026年7月時点の一般的な情報提供であり、特定の金融商品・サービスを勧めるものではありません。制度・税制・金利は変更される場合があります。実際のご判断にあたっては、公式情報のご確認のうえ、必要に応じて金融機関やファイナンシャルプランナーなど専門家にご相談ください。


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