先に結論:副業で得た利益(収入から経費を引いた金額)が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。逆にいえば、正しく経費を計上して利益を抑えれば、納める税金を合法的に減らすこともできます。「副業=税金が複雑で怖い」というイメージを持つ方は多いのですが、仕組みさえ理解してしまえば、確定申告はそれほど難しいものではありません。この記事では、金融機関で日々お客様の家計やお金の相談を受けてきた立場から、会社員が副業を始める前に知っておきたい税金の基本を、できるだけわかりやすく整理してお伝えします。
※本記事の税制・制度に関する数値や仕組みは国税庁の令和7年(2025年)4月1日現在の法令等をもとに記載しています。税制は毎年のように改正されるため、実際に申告される際は必ず国税庁の最新情報や税務署、税理士にご確認ください。
「副業を始めたら税金が怖い」を解消する
金融機関で融資や家計の相談を受けていると、「副業で月に数万円稼いでいるけれど、確定申告はしていない」という方によく出会います。多くは悪気があるわけではなく、「少額だから大丈夫だと思っていた」「やり方がわからず後回しにしていた」というのが実情です。
しかし、申告が必要な状態を知らずに放置すると、本来納めるべき税金に加えて無申告加算税や延滞税といったペナルティが課されるリスクがあります。一方で、ルールを正しく理解して手続きを淡々とこなせば、副業の税金はまったく怖いものではありません。むしろ経費の考え方を知っているかどうかで手元に残るお金が変わるため、早めに知っておくほうが得をします。私自身、3児の父として家計を預かる立場でもあり、せっかく稼いだお金を知識不足でムダに減らしてほしくないと考えています。
会社員の副業:税金の基本ルール
まず大前提として、会社員(給与所得者)の副業の税金は「給与以外でどれだけの利益が出たか」で扱いが変わります。ここでいう利益とは、売上や報酬そのものではなく、収入から必要経費を差し引いた残りの金額です。たとえば副業で30万円の収入があっても経費が15万円かかっていれば、利益は15万円です。この「利益」を基準に申告の要否を判断します。
①副業の利益が年20万円以下:所得税の確定申告は不要
給与を1か所からもらう会社員で、給与所得・退職所得以外の所得(=副業の利益)が年間20万円以下なら、原則として所得税の確定申告は不要です。これがいわゆる「20万円ルール」です。ただし注意点があります。所得税の申告が不要でも、住民税の申告は別途必要になる場合があるという点です。20万円ルールはあくまで所得税の特例で、住民税には適用されません。「20万円以下だから何もしなくていい」と思い込むのは危険です。
②副業の利益が年20万円超:確定申告が必要
副業の利益が年間20万円を超えたら、翌年の確定申告期間に所得税の確定申告を行います。2025年1月時点では、確定申告の期間はおおむね毎年2月16日から3月15日まで(曜日により前後)とされています。この期間に1年間(1月1日〜12月31日)の所得をまとめて申告し、納める税額を確定させます。副業の利益は、その性質によって「雑所得」または「事業所得」として申告します。
経費として計上できるものの例
副業の税金でもっとも重要なのが「経費」の考え方です。経費とは、その副業の収入を得るために直接かかった費用のこと。経費を正しく計上すれば課税対象の「利益」が小さくなり、支払う税金を合法的に抑えられます。逆に、経費を意識せずどんぶり勘定でいると、本来払わなくてよい税金まで払うことになりかねません。
| 経費の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 通信費 | スマホ代・インターネット料金(副業で使った割合分) |
| 書籍・セミナー費 | 副業に関する書籍・オンライン講座・参加費 |
| 機材・備品費 | パソコン・カメラ・マイク・周辺機器など |
| ソフト・ツール費 | 有料アプリ・サブスク・サーバー・ドメイン代 |
| 家賃・光熱費 | 自宅で副業する場合の按分(事業に使う割合分) |
ポイントは「按分(あんぶん)」という考え方です。自宅の一室を副業に使う場合、家賃や光熱費の全額ではなく、副業に使う面積や時間の割合など合理的な基準で「事業に使っている分」だけを経費にします。そして欠かせないのが領収書やレシート、明細の保管です。クレジットカードやキャッシュレス決済の明細も有効な記録になります。完璧でなくても、まずは記録を残す習慣をつけることが、結果的に大きな節税につながります。
副業がバレる? カギを握るのは「住民税」
「副業が会社にバレないか心配」という声はよく聞きます。会社に知られる主な原因は、実は住民税の金額です。住民税は前年の所得で計算されるため、副業で所得が増えるとその分だけ住民税も上がります。多くの会社は住民税を給与から天引きする「特別徴収」をとっているため、経理担当者が「給与の割に住民税が高い」と気づくことがあるのです。
これを避ける一つの方法が、確定申告の際に住民税の納付方法で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶことです。副業分の住民税の納付書が自分宛に届き、会社の給与天引きとは分けて納められます。ただし自治体や所得区分によっては希望どおりにならないこともあります。また就業規則で副業が禁止されている場合は規則違反のリスクがあるため、始める前に勤め先の就業規則を確認しておくことを強くおすすめします。
確定申告の具体的な流れ
確定申告は流れを分解すれば決して複雑ではありません。会社員の副業の場合、おおまかに次のステップです。
- 1年間の収入と経費を集計する:日頃から記録していれば、この作業はぐっと楽になります。
- 必要書類をそろえる:本業の源泉徴収票、副業の収入がわかる資料、経費の領収書などを用意します。
- 申告書を作成する:国税庁の「確定申告書等作成コーナー」なら画面の案内に沿って入力するだけ。e-Taxを使えば自宅から提出できます。
- 申告・納税する:期限内に提出し、納める税金があれば納付します。還付がある場合は指定口座に振り込まれます。
近年は会計ソフトやアプリも充実しており、初めての方でも負担を大きく減らせます。不安な場合は、確定申告期間中に税務署や自治体で開かれる無料相談会を利用するのも一つの手です。
まとめ:副業と税金は「知ってから始める」が正解
- 副業の利益(収入−経費)が年20万円を超えたら、所得税の確定申告が必要
- 利益が20万円以下でも、住民税の申告は別途必要になる場合がある
- 経費を正しく計上すれば、納める税金を合法的に減らせる
- 領収書・レシートの保管と、お金の記録の習慣づけがカギ
- 会社バレが心配なら住民税の「普通徴収」も検討。ただし就業規則の確認が先決
副業は、正しい知識さえあれば家計の心強い味方になります。逆に税金を知らないまま走り出すと、後から思わぬ負担を抱えることにもなりかねません。だからこそ「稼ぎ始めてから慌てる」のではなく「始める前に知っておく」ことが大切です。まずは今日から、副業に関する支払いのレシートを1枚保管するところから始めてみてください。その小さな習慣が、1年後のあなたを助けてくれるはずです。
※本記事は2025年時点の情報をもとにした一般的な情報提供を目的としており、個別の税務アドバイスではありません。税制は改正される場合があります。実際の申告にあたっては国税庁の最新情報をご確認のうえ、必要に応じて税理士または税務署にご相談ください。
📚 出典・参考(公的機関の情報)
※制度や金額は2025年時点の公的情報をもとにしています。最新の内容は各公式サイトをご確認ください。

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